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講義名 近・現代デザイン史
(副題)
講義開講時期 後期 講義区分 講義
基準単位数 2
校地 3学年
必修・選択 選択
講義名(英文) History of Modern Design
学部・学科 服装学部ファッションクリエイション学科

担当教員
氏名
◎ 井伊 あかり

授業概要 / Class Description 産業革命以降、つまり19世紀後半から現代にいたるまでのデザインの流れを歴史的に展望する。デザインは、生活のあらゆる局面に及ぶものである。日常生活用品や家具、インテリアなどインダストリアル・デザインやグラフィック・デザインが中心となるが、同時代の美術運動、ファッション、建築などにも目をやりながら、そうしたデザインを生んだ社会的・文化的背景を探る。欧米を中心に、日本や北欧など独自のデザイン文化を築いてきた地域を取り上げる。また特別テーマとして後半4回にわたり、現在、社会的に重要視されているトピックとデザインとの関係性に迫り、私たちが生きる今という時代におけるデザインの意味を考えたい。授業は、パワーポイントによるスライドに加え、写真や動画などのヴィジュアル資料を活用しながら進めていく。
到達目標 / Goal ファッションは広い意味でのデザインの一部であり、デザインは時代を映し出す鏡である。時代や社会背景と併せてその歴史を知ることで、「デザインとは何か」、「デザインすることの本質とは何か」をより深く理解できるようにする。またその知識を土台にして、新たなファッションクリエイションを生み出すことにつなげていく。
実務経験 / Business Experience 『ハーパーズ・バザー』日本版編集部を経て、フリーランスのジャーナリストとなり、『装苑』『25ans』『Richesse』『婦人画報』『エル・ジャポン』等のファッション雑誌に寄稿するほか、早稲田大学、跡見女子大学等において非常勤講師を経験。
授業計画 / Class schedule
内容
第1回[歴史1] モダンデザイン前史 : フランス流アール・ド・ヴィーヴル ― バロック、ロココを中心に
モダニズムの本質と特徴を理解するために、その前史となるヨーロッパ近世、なかでも貴族社会で花開いた装飾芸術について見る。
第2回[歴史2] 19世紀後半~20世紀初頭 : モダンデザインの源流 ― アーツ・アンド・クラフツからアール・ヌーヴォーまで
モダンデザインの先駆的存在であるウィリアム・モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動から、その影響を受けて広まったアール・ヌーヴォーまでを扱う。
第3回[歴史3] 20世紀初頭~1930年代 : 芸術と産業の融合 ― ドイツ工作連盟、バウハウス、機能主義
機械生産を前提とする合理的で機能的なデザインを提唱したドイツ工作連盟、デザイン運動であると同時に教育機関でもあったバウハウスなど、機能主義的なモダニズムの初期的発展を見る。
第4回[歴史4] 20世紀初頭~1930年代 : デザインの実験 ― イタリア未来派、ロシア・アヴァンギャルド、デ・ステイル
第一次世界大戦前後から1920年代を中心に、同時多発的に、新しい生活様式や芸術表現を求める前衛芸術運動が起こった。こうしたモダンデザイン運動における社会改革的側面について見る。
第5回[歴史5] 1910年代~30年代 : 消費社会の到来とデザイン ― 1925年アール・デコ博覧会を中心に
第一次世界大戦後、大量生産・消費社会が形成され、大衆文化が勃興する。新しい生活スタイルが一般大衆にも浸透していくなかで隆盛したアール・デコスタイルについて見る。
第6回[歴史6] 1930年代~40年代 : 科学技術への関心と流線型デザイン
アール・デコから派生し、スピード感や最先端テクノロジーを表象するスタイルとして1930年代のプロダクト・デザインを支配した流線型(ストリームライン)デザインを取り上げる。
第7回[歴史7] 1950年代~60年代 : アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ ― ミッド・センチュリー、ポピュラックス
大戦間期に形成されたアメリカ的生活様式(アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ)が、第二次世界大戦後、自由と豊かさの象徴として世界へと浸透していく。こうしたアメリカ経済の黄金期に生まれたデザインについて見る。
第8回[歴史8] 1970年代~80年代 : モダニズムからポストモダニズムへ
1970年代から80年代にかけて、デザイナーたちは、工業化社会を背景に機能性や合理性に主眼を置いたモダン・デザインからの脱却を模索した。そうしたなかで開花したポストモダンのデザインについて見る。
第9回[地域1] 日本 : 民藝運動からかわいい系まで
アーツ・アンド・クラフツの影響を受けつつも独自に発展した民藝運動の流れ、カワイイ文化と総称されるポップカルチャーなどを取り上げ、世界が注目するジャパン・デザインの本質を探る。
第10回[地域2] 北欧 : スカンディナヴィア・デザインの諸相
北欧独自のライフスタイルから生まれたデザインに注目する。自然の素材を生かし、機能的でありながら手の温もりを感じさせるシンプルなデザインは、世界で愛されている。スカンディナヴィア・デザインの成り立ちと広がりをひもとく。
第11回[特別テーマ1] オリンピックとデザイン : 1964年及び2020年(2021年)東京オリンピックを中心に
国家的イベントであるオリンピックは、世界に向けて国力をアピールする場でもあり、デザインもその手段の一つである。東京五輪を中心に、オリンピックとデザインの関係を取り上げる。併せて、1970年開催および2025年に予定されている大阪万博についても取り上げたい。
第12回[特別テーマ2] ジェンダーとデザイン
社会のあらゆる面でジェンダー平等が標榜されているが、デザインにおいてもジェンダー視点の重要性が高まっている。ジェンダーという観点から、デザイン史をあらためて考察する。
第13回[特別テーマ3] テクノロジーとデザイン
科学技術の進化と歩を合わせながら、デザインは発展してきた。デジタル社会が本格化し、さまざまな分野でパラダイムシフトが起こるなかで、新たに生まれているデザイン領域を、実例を通し紹介する。
第14回[特別テーマ4] 環境とデザイン
地球環境問題の解決が喫緊の課題となっている今、サステナビリティの思想が広がりを見せている。ファッションを含むサステナブル・デザインの最前線に迫り、問題解決に向けてのデザインの可能性を探る。
授業形式 / Teaching Method 基本的には、講義形式で進める。授業毎に学生に取り組んでもらう小課題については、授業内で取り上げ、場合によってはディスカッションの場を設けるなどのフィードバックを行う予定である。
評価方法 / Evaluation 平常点(出席点及び授業毎の小課題)70%、学期末課題 30%の割合で評価する。全授業回数の3分の1以上(5回以上)を欠席した場合、単位は与えない。
教科書等 / Textbook 教科書は特に指定しない。各回ごとに、必要に応じて資料を配布する。参考図書類は授業中に指示する。
準備学習 / Preliminary study 第1回から第8回までは、19世紀以降のデザインの歴史を通時的にたどるので、扱う年代と同時代のファッションについて見ておけば、理解がより深まるはずである(授業毎に20分程度)。
担当教員問合せ先 / Office to contact 服装デザイン学研究室(A123)
備考 ●履修可能人数(人):90
履修登録学生が多い場合は抽選になる。
※授業形式(対面あるいはオンライン)次第で変更の可能性あり。