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講義名 博物館資料保存論
(副題)
講義開講時期 後期 講義区分 講義
基準単位数 2
校地 3学年
必修・選択 必修
講義名(英文) Clinical Conservation Science for Museum Collections
学部・学科 服装学部ファッション社会学科

担当教員
氏名
◎ 神庭 信幸

授業概要 / Class Description 文化財資料の保存と公開は文化財を継承するために必要な両輪である。資料保存とはあらゆる状況や環境において、資料に対する安全を作り出だす行為である。そのために必要となる専門知識と見識は極めて高度なものであり、獲得には時間を要する。本授業では、資料保存を実践するために必要な倫理や哲学、科学的理論、そして問題解決のためのアプローチの仕方などに関し、それらの基礎となる部分について実例に基づきながら講義し、全体的な理解を促す。また、実際の博物館において展示の工夫や作品の保存状態などについて、より具体的な講義を行う。
到達目標 / Goal ①博物館において資料を保存することの意義と保存の歴史、文化財保存の理念、保存を支える関係要素を理解することができる。
②資料の材料・形態や状態の違いによる調査や保存・修理方法のあり方、資料の劣化因子と保存のための環境整備の重要性の認識、あわせて展示・梱包・輸送など博物館活動に伴う資料の扱いと保存との関係などの考察を通して、博物館における資料保存のための基礎的知識を、美術資料を中心として習得することができる。
実務経験 / Business Experience ①文化財保存科学に関する修士課程を修了後、創形美術学校修復研究所研修員として主に油彩画の科学的調査及び修理に関する実践を重ねた。
②国立歴史民俗博物館の教員として、博物館における展示収蔵環境の整備と基礎研究を重ね、東京藝術大学にて博士号を取得する。
③東京国立博物館において文化財の状態診断、予防、修理を実践し、文化財保存を博物館活動と一体のものとして行う臨床保存学を確立した。
④この間、阪神淡路大震災、東日本大震災など大きな災害を経験し、文化財レスキューに関しても実務経験を重ねている。
授業計画 / Class schedule
内容
第1回文化財資料の意味と博物館における資料保存の意義について
第2回博物館における資料保存の意義と資料の保全を脅かすリスクについて
第3回博物館における資料保存の意義と臨床的保存の必要性と職業倫理について
第4回環境と資料の状態診断における資料の保存公開と環境の関係について
第5回環境と資料の状態診断における環境のモニタリングについて
第6回環境と資料の状態診断における資料の調査診断と記録について
第7回環境と予防保存における環境改善による資料保全について
第8回環境と予防保存における博物館資料の輸送について
第9回環境と予防保存における保存箱について
第10回劣化と修理保存における修理前の状態調査について
第11回劣化と修理保存における対症修理と本格修理の役割について
第12回劣化と修理保存における修理報告書の作成について
第13回環境保護と博物館の役割における自然災害への対応及び環境と調和する資料保存について
第14回試験とフィードバック
授業形式 / Teaching Method 講義形式を主とするが、授業内容に応じてアクティブ・ラーニング型(ディスカッション、グループワーク)を取り入れる。
評価方法 / Evaluation 評価方法:A(S)~C・E評価
評価の基準:試験50% 意欲・参加度50%
教科書等 / Textbook 神庭信幸:博物館資料の臨床保存学、武蔵野美術大学出版局、2014
準備学習 / Preliminary study 授業前には語彙を調べ、本文を一度は読んでくること
授業後は講義内容を復習し、教科書をより良く理解するよう努めること
担当教員問合せ先 / Office to contact 非常勤講師室(A042) 博物館学研究室(F43)