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講義名 被服表面物性論
(副題)
講義開講時期 後期 講義区分 講義
基準単位数 2
校地 2学年
必修・選択 選択
講義名(英文) Material Science of Clothes Surfaces
学部・学科 大学院生活環境学研究科被服環境学専攻(博士後期課程)

担当教員
氏名
◎ 柿澤 恭史

授業概要 / Class Description 被服を着用し快適な衣生活を送るための合理的な技術と、その基礎となる科学を考えるのが被服管理学の分野である。そこには人と被服、被服と外界、洗浄などの処理などが含まれる。被服管理の高度化や繊維表面の新しい機能化技術を探求するには、被服の表面物性を理解することが必要である。本講義では被服表面の物性やその物性を変化させる基剤について、最新の分析機器や研究成果など交えて論じる
到達目標 / Goal 繊維やテキスタイルの性質を、物質を構成する分子レベルから表面物性との関係について、理論的かつ総合的に考えを深めることができる
実務経験 / Business Experience ライオン株式会社に勤務し、シャンプー、コンディショナーなど毛髪ケア製品の開発、お
よび界面活性剤の物性研究、機能科学研究、先端解析科学研究、表面改質研究などに従事
授業計画 / Class schedule
内容
第1回被服表面の物性を、物質の三態(気体、液体、固体)から始まり、繊維を構成する材質および化学構造、そして繊維やテキスタイルの表面や界面の全体像に至る考え方を、繊維材質の分析方法(従来法 vs 顕微IR、顕微ラマン)の視点から概説する
第2回繊維、テクスチャーの構造と物性を、繊維のマクロ~ミクロの構造および結晶と非結晶の違いから解説し、また繊維の構造を分析する方法(X線回折、SEM、X線CT)や繊維の物性を評価する方法(従来法 VS テクスチャアナライザー)について説明する
第3回繊維とテキスタイルの表面を分析する方法(SEM-EDX、X線分光)について解説し、繊維表面を表面修飾するための表面処理剤(高分子、シリコーン、親水化)の例を紹介する

第4回衣類の洗浄について、付着した汚れの分析法(抽出法、LC、GC)、除去するための洗浄基剤(界面活性剤、キレート剤、酵素)とその洗浄のメカニズム(ぬれ、浸透、乳化、可溶化、再付着防止)について解説する

第5回繊維の仕上げについて、柔軟性を出す基剤とその吸着状態の解析(AFM、ゼータ電位)、そして柔軟性のメカニズムを関連付けて解説する

第6回洗浄力を強化するために用いられる漂白基剤および蛍光増白剤のメカニズムと、更に最新の洗浄技術として注目されるファインバブル、電解水、超音波について解説する
第7回機能性材料を安定かつ有効に使用するには、製剤化の技術が必要となる。製剤化に使用する成分(界面活性剤、キレート剤、酵素)と役割について解説する
第8回自己集合性を有する界面活性剤がどのような会合体を形成し、その状態はどのような分析方法で把握することができるか。また、界面活性剤によるぬれと界面張力低下、接触角の測定法について解説する
第9回製剤の示す物性と溶液構造の関係を解説し、液体洗剤の濃縮技術および製剤の使いやすさの解析について、レオロジー物性の点から論じる
第10回快適性についての感性評価および物性評価から解説し、感性評価の事例を紹介する
第11回着る化粧品という考え方とその製剤の事例を紹介し、その際に用いられる皮膚評価法(TEWL、角質水分量、皮脂量、皮膚状態測定)を解説する。
第12回衣類、繊維を取り巻くSDGsや環境問題をとらえ、そこで取り組まれているSDGsと環境対応について、衣類を長持ちさせる衣類ケア技術やカーボンニュートラルの技術に注目して紹介する
第13回SDGsや環境対応の点からも注目される防汚技術および速乾技術について、基剤および評価方法について解説する
第14回微生物、ウイルスがもたらす影響、および抗菌、抗ウイルス基剤と評価方法について解説し、衣類ケアが可能とする衛生技術について論じる

評価方法 / Evaluation 評価方法:A(S)~C・E評価
評価の基準:レポート40%,授業への意欲・授業中での質疑応答60%
教科書等 / Textbook 特になし
準備学習 / Preliminary study 機能性繊維にはどのような性質があるのか、日頃から注目し、興味・疑問をもって調べておくこと
担当教員問合せ先 / Office to contact テキスタイル研究室(A073a)
備考 授業内で参考となる資料を適宜配付、またはオンライン上で提示する